お尻が腫れてズキズキ痛む、熱が出た、下着に膿がつく。それは、いぼ痔や切れ痔とは異なる「あな痔(痔瘻)」かもしれません。あな痔は、痔のなかで唯一、自然に治ることがなく、手術が必要になる病気です。早い段階での診断が大切です。
肛門の内側には、肛門陰窩(こうもんいんか)と呼ばれる小さなくぼみが並んでいます。下痢などでこのくぼみに便が入り込むと、細菌が感染して化膿し、肛門のまわりに膿がたまります。これが肛門周囲膿瘍です。たまった膿は行き場を求めてまわりの組織を溶かしながら進み、最終的に皮膚を破って外に出ます。このとき残るトンネル状の通り道が痔瘻(あな痔)です。
膿がたまっている、急性の状態です。強い症状が出るため、多くの方はこの段階で受診されます。
膿が出たあとに、通り道(瘻管)が残った状態です。痛みは落ち着きますが、治ったわけではありません。
あな痔は、いぼ痔や切れ痔と比べて男性に多く、働き盛りの年代に多い病気です。次のような方は起こりやすいことが知られています。
ゆるい便は肛門のくぼみに入り込みやすく、細菌感染のきっかけになります。もっとも大きな要因です。
抵抗力が落ちている時期に発症・再燃しやすい傾向があります。
感染に対する抵抗力が落ちるため、化膿が重くなりやすく、治りも遅くなります。血糖の管理もあわせて行います。
腸の炎症が原因で痔瘻ができることがあります。若い方で痔瘻をくり返す場合には、この可能性も考えて検査を行います。
あな痔の治療は、「まず膿を出して痛みをとる」段階と、「膿の通り道を根本的に処理する」段階の2つに分かれます。
腫れの場所と広がり、膿がたまっているかどうかを確認します。必要に応じて血液検査などを行います。
膿がたまっている場合は、切開して膿を出すことで痛みと熱が大きく楽になります。状態によって、当院で対応する場合と、設備の整った医療機関にご紹介する場合があります。
炎症をおさえる目的で使用します。ただし薬だけで通り道が閉じるわけではないため、あくまで補助的な治療です。
膿の通り道を処理する手術が必要です。通り道の深さや広がりによって方法が異なるため、手術に対応できる医療機関をご紹介し、連携して進めます。
治療後は、下痢をくり返さないようお通じを整えることが大切です。糖尿病などの持病がある方は、その管理もあわせて行います。
あな痔は自然には治らず、くり返すほど治療が大がかりになります。まずは状態を確認するところから始めましょう。
小島 正之こじま まさゆき
茅ヶ崎信愛クリニック 院長/医学博士
藤田医科大学 総合消化器外科 客員講師・非常勤講師
消化器外科を専門とし、内痔核をはじめとする肛門疾患の診療・手術に長く携わってきました。肛門の症状は「大腸の病気」と紛らわしいことがあるため、大腸内視鏡検査まで一貫して対応できる体制を整えています。
院長紹介を見る ›最終更新日:2026年9月3日