Anal Fistula & Abscess

あな痔(痔瘻)・肛門周囲膿瘍の
症状と治療

お尻が腫れてズキズキ痛む、熱が出た、下着に膿がつく。それは、いぼ痔や切れ痔とは異なる「あな痔(痔瘻)」かもしれません。あな痔は、痔のなかで唯一、自然に治ることがなく、手術が必要になる病気です。早い段階での診断が大切です。

About

あな痔(痔瘻)とは

肛門の内側には、肛門陰窩(こうもんいんか)と呼ばれる小さなくぼみが並んでいます。下痢などでこのくぼみに便が入り込むと、細菌が感染して化膿し、肛門のまわりに膿がたまります。これが肛門周囲膿瘍です。たまった膿は行き場を求めてまわりの組織を溶かしながら進み、最終的に皮膚を破って外に出ます。このとき残るトンネル状の通り道が痔瘻(あな痔)です。

第1段階:肛門周囲膿瘍

膿がたまっている、急性の状態です。強い症状が出るため、多くの方はこの段階で受診されます。

  • 肛門のまわりが赤く腫れ、ズキズキと強く痛む
  • 38度前後の発熱、体のだるさ
  • 座れないほど痛むこともある

第2段階:痔瘻(あな痔)

膿が出たあとに、通り道(瘻管)が残った状態です。痛みは落ち着きますが、治ったわけではありません。

  • 下着に膿や汁がつき、においが気になる
  • 肛門のわきに硬いしこりを触れる
  • 疲れたときなどに、また腫れて痛みをくり返す
あな痔は、自然には治りません いぼ痔や切れ痔と大きく違うのは、この点です。膿が出て痛みが引くと「治った」と感じられますが、通り道は残っているため、時間がたつとまた膿がたまります。くり返すうちに通り道が枝分かれして複雑になり、治療がより大がかりになってしまいます。腫れと痛みを一度でも経験された方は、症状が落ち着いているうちにご相談ください。
Symptoms

こんな症状があればご相談ください

肛門のまわりが腫れて強く痛む 発熱がある・体がだるい 痛くて座っていられない 下着に膿や汁がつく 肛門のわきにしこりを触れる 腫れと痛みを何度もくり返している においが気になる 下痢をくり返している
強い痛みと発熱があるときは、膿がたまっている可能性が高い状態です。この場合、抗菌薬だけでは十分に改善しないことが多く、膿を出す処置が必要になります。我慢せず、早めにご連絡ください。
Causes

起こりやすい方・背景にある病気

あな痔は、いぼ痔や切れ痔と比べて男性に多く、働き盛りの年代に多い病気です。次のような方は起こりやすいことが知られています。

下痢をくり返す方

ゆるい便は肛門のくぼみに入り込みやすく、細菌感染のきっかけになります。もっとも大きな要因です。

疲れ・睡眠不足が続く方

抵抗力が落ちている時期に発症・再燃しやすい傾向があります。

糖尿病のある方

感染に対する抵抗力が落ちるため、化膿が重くなりやすく、治りも遅くなります。血糖の管理もあわせて行います。

クローン病などの炎症性腸疾患

腸の炎症が原因で痔瘻ができることがあります。若い方で痔瘻をくり返す場合には、この可能性も考えて検査を行います。

Treatment

治療について

あな痔の治療は、「まず膿を出して痛みをとる」段階と、「膿の通り道を根本的に処理する」段階の2つに分かれます。

1

診察・状態の確認

腫れの場所と広がり、膿がたまっているかどうかを確認します。必要に応じて血液検査などを行います。

2

膿を出す処置(切開排膿)

膿がたまっている場合は、切開して膿を出すことで痛みと熱が大きく楽になります。状態によって、当院で対応する場合と、設備の整った医療機関にご紹介する場合があります。

3

抗菌薬・痛み止め

炎症をおさえる目的で使用します。ただし薬だけで通り道が閉じるわけではないため、あくまで補助的な治療です。

4

根本的な手術

膿の通り道を処理する手術が必要です。通り道の深さや広がりによって方法が異なるため、手術に対応できる医療機関をご紹介し、連携して進めます。

5

再発予防

治療後は、下痢をくり返さないようお通じを整えることが大切です。糖尿病などの持病がある方は、その管理もあわせて行います。

当院は外来診療のクリニックです。あな痔の根本的な手術については、状態を診断したうえで、手術に対応できる医療機関へご紹介します。院長は外科専門医・指導医として長く手術に携わってきましたので、どのような治療が必要になるのか、どこで受けるのがよいのかを含めてご説明します。治療後のお通じの管理や再発予防は、かかりつけ医として当院で継続して行えます。

腫れて痛む、熱が出た。そんなときは早めにご連絡ください

あな痔は自然には治らず、くり返すほど治療が大がかりになります。まずは状態を確認するところから始めましょう。

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FAQ

よくあるご質問

Qあな痔(痔瘻)は薬で治りますか?
残念ながら、いったんできてしまった膿の通り道(瘻管)が薬で閉じることはありません。抗菌薬で炎症を一時的におさえることはできますが、根本的に治すには手術が必要です。放置すると膿がたまるたびに腫れと痛みをくり返し、通り道が枝分かれして複雑になっていきます。
Qお尻が腫れて熱が出ました。すぐに受診すべきですか?
はい、早めの受診をおすすめします。肛門のまわりに膿がたまっている(肛門周囲膿瘍)可能性があります。膿を出す処置を行うことで痛みは大きく楽になります。夜間や休診日に強い痛みと高い熱がある場合は、救急外来の受診もご検討ください。
Q膿が出たら痛みが引きました。もう治ったのでしょうか?
膿が自然に出ると痛みは楽になりますが、膿の通り道は残ったままです。治ったように見えても、しばらくするとまた膿がたまって腫れをくり返します。症状が落ち着いているうちに、一度状態を確認しておくことをおすすめします。
Qあな痔を放っておくとどうなりますか?
腫れと痛みをくり返すうちに、膿の通り道が枝分かれして複雑になり、手術も難しく、肛門の機能への影響も大きくなります。また、非常にまれではありますが、長年放置した痔瘻からがんが発生することが報告されています。早い段階で治療したほうが、体への負担は小さくすみます。
Q手術は入院が必要ですか?
痔瘻の手術は、通り道の深さや広がりによって方法が異なり、入院が必要になることもあります。当院ではまず状態を確認し、必要な治療の内容をご説明したうえで、手術に対応できる医療機関をご紹介します。ご希望や通いやすさもふまえてご相談ください。
Q下痢が続くとあな痔になりやすいと聞きました。
はい。あな痔は、肛門のくぼみ(肛門陰窩)に便が入り込んで細菌が感染することから始まります。下痢のときは便がこのくぼみに入りやすいため、下痢をくり返す方はリスクが高くなります。お通じを整えることは予防にもつながります。
Supervised by

このページの監修者

小島 正之こじま まさゆき

茅ヶ崎信愛クリニック 院長/医学博士
藤田医科大学 総合消化器外科 客員講師・非常勤講師

  • 日本外科学会 専門医・指導医
  • 日本消化器外科学会 専門医・指導医
  • 日本消化器病学会 専門医・指導医
  • 日本消化器内視鏡学会 専門医
  • 日本肝胆膵外科学会 高度技能専門医

消化器外科を専門とし、内痔核をはじめとする肛門疾患の診療・手術に長く携わってきました。肛門の症状は「大腸の病気」と紛らわしいことがあるため、大腸内視鏡検査まで一貫して対応できる体制を整えています。

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最終更新日:2026年9月3日

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